技術情報

ハルセルロングタイプの概要

ハルセルロング概要

ハルセルロングタイプとはハルセル水槽の種類の一つで、従来のハルセル水槽よりも長い台形型水槽を利用し連続した広範囲な電流密度での析出状態を観察する事を可能にします。液量は約430mlで、基本的な評価の方法は通常のハルセルと同様です。ハルセルの試験方法についてはこちらをご参照ください。

ハルセルロングタイプの歴史

ハルセルロングタイプは、ディップソール株式会社の村井氏が考案し、当社が設計して誕生した製品で、2001年より販売しています。
発売当初は容量を重視したタイプ(A)を販売しておりましたが、「なるべく標準のハルセルと整合性の付く寸法にするべきである。」「ハルセルの発明者であるDr.Hullの発想と、DIN規格に敬意を示したい。」という当社の考えから、極間距離を重視したタイプ(B)を標準品にしています。

A.容量を重視したタイプ

水槽の液量がきりの良い500mL、めっき面積もきりの良い100dm2にすることを優先した設計です。
その結果、台形の上辺(短い方の寸法60mm)と液面の高さ(50mm)が通常のハルセルとは異なります。

B.極間距離を重視したタイプ

水槽の寸法を極力通常のハルセルと等しくすることを意識し設計したのが、極間距離を重視したタイプです。
台形の上辺(短い方の寸法48mm)と液面の高さ(46mm)が通常のハルセルと同じです。そして寸法を優先した結果、液量は430mLとなっています。

ドイツ規格 DIN50957-2に準拠

2019年6月、ハルセルロングタイプはドイツ規格協会が制定するDIN50957-2に登録されました。
DIN50957-2では、”電解めっきの電解液試験-電解めっき試験-第2部:特別仕様の試験セル(Testing of electrolytes used for electro-deposited metallic coatings – Test involving electro-deposition – Part 2: Special test cells)”が規格化されています。

DIN規格とは「DIN規格は、ドイツ規格協会(Deutsches Institut für Normung)が制定する、ドイツ連邦共和国の国家規格です。ドイツ国内のみならず、国際的に広く参照される規格でもあります。」

リサーチナビ 国立国会図書館

ハルセルロングタイプが国際的なDIN規格に登録されていることで、めっき液の管理手法としても導入する際の調査書類を簡素化できます。また、上記の通り国際的に広く参照される規格であるため、海外の工場や企業との取引の際にも、管理の相互理解がしやすくなることも期待できます。

規格への貢献

ドイツ規格協会がロングタイプの有用性に着目し規格化を考えた際、当社は長年ハルセルを販売してきた実績と製品の精密さ、当社が提唱する陰極電流密度分布式の妥当性が評価され、実証用水槽の製作と資料提供の依頼を受けました。そして様々な意見交換をすることで規格化の協力をおこない、2019年6月の規格改定にてDIN50957-2として採用されました。(DIN 50957-2 Anhang B japanische Ausführung)


ハルセルロングタイプの特徴

ハルセルロングタイプは陰極が通常の2倍長くなることで、より広範囲な電流密度での状態が観察できるのが特徴です。合金めっきやバレルめっきの評価に適しています。

通常のハルセルとハルセル(ロングタイプ)を比較したニッケルめっきの実験動画

合金めっきでの活用事例

合金めっきは浴組成によって電流密度における合金比率変動が著しく起こります。そのため、より細かい電流密度での評価が必要です。より広範囲な電流密度での状態が観察できるハルセルロングタイプは、通常では評価しにくい低電流密度部分が見やすくなる利点があります。

バレルめっきでの活用事例

バレルめっきでは、1つのサンプルに対して幅広い電流密度でのめっき析出があります。これはバレルの回転にともない、被めっき物が塊の内部にもぐり込み、電流密度がほとんどゼロに近い状態になるなど、一つのサンプルに対しての陰極電流密度の変動がとても大きなsinカーブを描くためです。そのためより幅広い電流密度範囲での皮膜状態(つきまわり性等)の確認にハルセルロングタイプは有用です。
ただし、バレルめっきでは液が攪拌され、またサンプル同士が接触することで擦れ合うことから、静止状態のハルセル試験とは異なる結果が出ることがあります。また、水素過電圧の影響が出る場合もあります。 バレルめっきでは品物の投入量によってめっきの析出具合は変わりますが、ハルセルロングタイプで液管理をすることで条件を一定に保つことができます。ハルセルロングタイプの試験結果と、現場での現象を相対的にとらえることで、めっき液の維持管理にお役立てください。


ハルセルロングタイプ 製品紹介

水槽

当社では4種類のハルセルロングタイプをご用意しております。めっき液の種類により使い分けいただけます。

製品名製品番号外観特長
ハルセル (並型水槽ロングタイプ)B-55-Lハルセルロング通常のハルセルより陰極側を横に長くすることで、電流密度による差をより詳細に観察することが可能です。合金めっきなどに最適です。
ハルセル (並型水槽ロングタイプガラス製)B-55-LGハルセルロングガラスB-55-Lと同様の横長タイプでガラス製です。
ハルセル (加温型水槽ロングタイプ)B-53-L/B-53-LWハルセル加温型ロングB-55-Lと同様の横長タイプで、ヒーターによる加温と空気攪拌が可能です。
ハルセル (空気カクハン型水槽ロングタイプ)B-54-L/B-54-LWハルセル空気撹拌型ロングB-55-Lと同様の横長タイプで、空気攪拌が可能です。
 

早見板

煩雑な計算をしなくてもハルセルロングタイプ用の陰極板にあてるだけで、簡単に電流密度分布がわかる早見板です。電流密度の算出方法は、当社が独自に検証し割り出した計算式を使用しています。

 


関連論文

小岩 仁子,山本 渡;ハルセル試験(高速ハルセルを含む)の原理と分析事例 一般社団法人 表面技術協会(2012)


※「ハルセル」は山本鍍金試験器の商標登録商品です。商標登録第1294468号(10類・理化器関係)/商標登録第1278949号(11類・電気器関係) 本文中では一部(R)マークは省略させていただきました。

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