技術情報
めっき析出可能な金属について
「めっき析出可能な金属」として”めっき皮膜として得ることが出来る金属”についてのご紹介いたします。
*ここで言うめっきとは湿式めっきのことです。
1. 電気めっき
アルカリ金属やアルカリ土類金属ではイオン化傾向から、またAlやTi、希土類金属は酸素との結合力が強いため、 酸化物か水酸化物の状態でしか電析せず水溶液からの電析は不可能となります。このような金属は有機溶媒または溶融塩などを使用し電析を行います(特注対応可)。特にAlについてはイオン液体を使用した電析方法もあります。 水溶液にて電析できる金属のうち、一般的に可溶性アノードを使用するのは、Zn・Ag・Cu・Cd・Fe・Ni・Coです。
*AsやGeなど、一部文献により表記が異なります。
2. 無電解めっき
無電解めっき皮膜として、代表的なものに銅系ニッケル系などいくつかありますが、 それぞれの金属種に対応した還元剤を選択することで析出が可能となります。 無電解めっきでは金属錯体の還元反応(カソード)と還元剤の酸化反応(アノード)の同時反応による混成電位で進行するため、 金属錯体の可逆電位より卑な酸化還元電位(可逆電位)を持つ還元剤を選ぶ必要があります。 現在のところめっきの還元剤には主に以下の5種類が使用されています。
→次亜りん酸・ホルムアルデヒド・水素化ホウ素・DMAB・ヒドラジン
【参考文献】
日本化学会編,”分子レベルからみた界面の電気化学”,(学会出版センター,1975)
渡辺 徹,”ナノプレーティング”(日刊工業新聞,2004)
春山志郎, “表面技術者のための電気化学第2版” (丸善, 2005)