特注品
噴流めっき装置
高電流密度下でのめっき試験を行うために、サンプルへ高速でめっき液を吹きつけるめっき装置です。
サンプルの着脱・固定や各種温調機器への対応が容易となっています。
最小1 cm×1 cm角のサイズから最大で4inch(丸型/角型)まで対応しております。
シリコンだけでなく各種素材のウエハ、フィルム等も対応可能ですのでご相談ください。
試験片設置イメージ
噴流めっき実験動画
仕様
仕様(4inchウェハ用) | |
---|---|
材質 | アクリル、PP、SUS304他 |
耐熱温度 | 65℃ |
内寸サイズ | 155D×770W×300Hmm |
外寸サイズ | 180D×800W×300Hmm(外部装置を除く) |
噴流することで高速めっきが可能な理由
電気めっきにおいて析出皮膜の厚さは通常電気量に比例して増加します。
めっきの厚さは基本的に電流密度に比例するため、例えば同じめっき時間で電流密度を 大きくすれば皮膜も厚くなりますが、あまり大きくしすぎると水素還元反応が起こり 電流効率は著しく低下してしまいます。
ここで、電極表面の物質収支を考えてみます。 電極表面での単位時間、単位面積あたりに析出する金属の量(Ne)は、ファラデーの 法則より以下のように表します。
Ne=i/nF ……. ( 1 )
n : 電析金属の原子価 F : ファラデーの定数
電極表面では、Ne の量の金属イオンが消耗されるので、電極近傍の金属イオン濃度が低下して濃度勾配が生じてきます。
濃度勾配が生じると金属イオンは、拡散、泳動、対流などによって溶液の沖合いからめっ き面に移動してきますが、この移動量(Nd)を次式のように表すことができます。
Nd =D(Co-C)/d ……. ( 2 )
D : 金属イオンの拡散定数(めっき液の温度に依存)
Co : 沖合い(Bulk)の金属イオン濃度
C : 電極表面の金属イオン濃度
d : 拡散層の厚さ
定常状態では、析出した分の金属イオンが沖合いから供給されるので析出量 Ne =移動量 Ndとなります。そのため、(1)、(2)式をまとめると
i =nFD(Co-C)/d ……. ( 3 )
と表すことができます。ここで析出量>移動量となると電極表面の金属イオン濃度Cが低下し、 さらに金属イオンが無くなった場合めっきは析出しなくなります。この時の電流を限界電 流密度(il)と呼びます。限界電流密度は界面での金属イオンが 0 つまり C=0 のときなので、 ( 3 )式から以下の式が導かれます。
il =nFDCo/d ……. ( 4 )
限界電流密度を超えた場合、著しい水素還元反応が起こりめっきが付かなくなることや、焦げ(やけ)と呼ばれるような皮膜形状が荒くなる現象が起こります。
一般に焦げ(やけ)を抑えるには添加剤をめっき浴中に加えるか、この限界電流密度を大きくすることでそのような現象を防ぐことができます。それには(4)式より金属イオン濃度Coを濃く、拡散定数Dを大きく(液温を高くする)、または拡散層の厚さdを小さく(撹拌を強く)すれば良いことがわかります。
上記全て、または1つでもその条件で行うことで限界電流密度は大きくなるため、高速で液を吹きかけるだけでも高電流密度でのめっき(=高速めっき)を行うことが可能です。しかしながら実際には、金属イオン濃度や液温を高くしすぎると浴のバランスを崩してしまう液や、撹拌を強くしすぎると添加剤の効果が薄れる液などもあります。
このような条件を確認するためにも、この噴流めっき装置が使用できます.
同様な高速めっき用の試験装置に“高速めっき用ハルセル(A-45)”があります。
噴流装置が試験片を固定し、液を吹きかけることで拡散層の厚さを変えているのに対し、高速めっき用ハルセルは試験片を高速回転させています。こちらも合わせてご活用ください。
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